米軍事機密流出 諜報機関「コメント・クルー」の疑い 中国軍指揮下のハッカー集団

産経新聞 2013.05.08

【ワシントン=佐々木類】最先端のロボット兵器や無人航空機の開発に携わる米軍事企業へのハッカー攻撃が新たに発覚し、米軍当局は、中国軍指揮下のハッカー集団が関与していた疑いを強めている。

この米企業は、南部バージニア州マクリーンに本社のあるキネティック・ノースアメリカ社。ハッカー攻撃したのは、上海にある中国軍の諜報機関「61398部隊」の指揮下にあるハッカー集団“コメント・クルー”とみられる。活動拠点は61398部隊の本部近くの上海近郊に4カ所あることが判明している。

2007年から10年にかけキネティック社の開発部門を中心に侵入され、文書130万ページに相当するデータの流出が確認された。具体的には福島第1原子力発電所の放射線漏れ事故の際、施設内の放射線量を自動的に地図化するなどで活躍したロボット兵器や偵察衛星に関する機密情報が含まれていたとみられる。

米情報セキュリティー企業マンディアントは今年2月、06年以降、世界で少なくとも141企業がコメント・クルーのハッカー攻撃を受けたとする報告書を発表した。攻撃目標は英語圏の国が9割近くを占め、115件が米企業向け。電力網などインフラや株式市場、金融システムなども攻撃対象とされていると警鐘を鳴らす。

中国軍は昨年4月、キネティック社の爆弾処理ロボットと酷似したロボットを公開しているが、ハッカー攻撃の「成果」だった可能性もある。

さらに懸念されるのが米軍が調達を計画する最新鋭ステルス戦闘機F35に関する機密情報の流出だ。米メディアも、開発主体の米ロッキード・マーチン社がF35をめぐりハッカー攻撃を受けたと報じている。F35開発の遅れは、ハッカー攻撃によるソフトウエアの書き換えに時間がかかっている可能性もある。

米中央情報局(CIA)のヘイデン元長官は「中国は莫大(ばくだい)な研究開発費を投じた米国の技術を盗用し、技術的優位に立とうとしている」としている。

米国防総省が6日発表した中国の軍事動向に関する年次報告書でも、米政府などへの昨年のサイバー攻撃の一部は「中国政府と中国軍が直接関与したとみられる」と明記された。

http://sankei.jp.msn.com/world/news/130508/chn13050820020002-n1.htm