英国民衆法廷、臓器収奪に最終裁定 「相当な規模で行われている」

Epochtimes, 25.06.2019

人道犯罪について第三者による調査と結果を示す「民衆法廷」の中国臓器収奪問題・最終裁定が6月17日、英ロンドンで開かれた。50人以上の証言と1年に渡る調査の結果、議長は、中国では移植手術の供給のために臓器収奪が行われているとの事実は「避けられない」と結論を下した。議長は、すべての政府や企業などは、共産党政権の中国における、国家的な人道に反する罪を認識するよう呼びかけた。民衆法廷の議長を務める元検事総長ジェフリー・ナイス卿(Sir Geoffrey Nice)は、中国本土では「強制的な臓器摘出が、相当な規模で行われている」と述べた。さらに、その最大規模の犠牲者は、法輪功学習者であると付け加えた。

中国臓器収奪民衆法廷の議長を務めるジェフリー・ナイス卿(Justin Palmer)

民衆法廷は、国際法上問題があると考えられる議題を有識者らが公開検証する独立調査パネル。これまでイラン、ベトナム、北朝鮮における人道犯罪などを取り上げ、世界各地で開かれてきた。このほど、中国臓器収奪が議題となり、中国から脱出した少数民族、信仰者、人権専門家、医師、作家らの証言をもとに、英ロンドンで裁定を下した。

「真善忍」を基準として修煉する中国気功法・法輪功の学習者は、20年もの間、中国共産党政権により残忍な迫害を受けて来た。学習者は連行され、刑務所、労働教養所、思想矯正センターに拘留されている。

旧ユーゴスラビア国際戦犯法廷で検察官を務めたこともあるナイス卿は、「中国の臓器移植ビジネスに関わるネットワークが解体されたという証拠はない。また、『すぐに入手可能な臓器』の供給源について、納得いく説明がない。このため、今日まで強制的な臓器収奪が続いていると結論付けた」と述べた。

裁判ではまた、決定的な証拠はないものの、中国当局によって設置された新疆ウイグル自治区「再教育キャンプ」の中で拘束されたウイグル族は、強制的な臓器摘出の犠牲者になりうる危険性があるとした。米国務省や専門家らは、百万人以上のウイグル人や他の少数民族が現在、思想教育の名目で、収容所に拘禁されていると推定している。

そして、中国当局が法輪功学習者に対して、さまざまなことを理由に非人道的な扱いを続けているとした。ナイス卿は、中国衛生部(厚生労働省に相当)、在ロンドン中国大使館、中国共産党政府高官にそれぞれ反証の機会を与え、民衆法廷の開催について通知しているが、返答はなかったという。

続く「臓器狩り」

12カ月の調査期間、議長や陪審員たちは、臓器収奪の発生、現在の状況、中国共産党政権の関わりについて調査してきた。中国では刑務所や労働教養所などの収容者から、国内外の臓器移植希望者に向けて、適合する臓器を強制的に取り出している。

前代未聞の組織的な犯罪は、「臓器狩り」と呼ばれた。2006年に初めて、元中国医療関係者の女性が米国で明らかにした。女性は遼寧省蘇家屯の病院に勤務する医療事務員で、夫は脳神経外科医。病院地下には5000~6000人の法輪功学習者を監禁しており、薬物注射で仮死状態になった学習者から心臓、肝臓、腎臓、角膜を摘出し、その後、身体を病院近くのボイラー室で焼却しているという。

まだ臓器のドナー制度の確立していない2000年頃から、中国では臓器移植件数が急増した。最終裁定では、1999年後半から大規模な弾圧で強制連行され、そのまま行方不明になっている法輪功学習者が「臓器狩り」の犠牲になっていると説明可能だとした。

中国では強制的な臓器収奪があるとの裁定、避けられない

1年間で2回にわたる公聴会、50人から証言を得た民衆法廷で、ナイス卿は、中国国内では臓器収奪が行われているという「避けられない」結論に至ったと述べた。

中国では、移植希望者に適合するドナーが現れるまで、数日から数週間しかかからない。ナイス卿は、世界諸国の「通常の自発的なドナー制度では考えられない異常な短さ」という「多数の証拠」を受け取ったと述べた。証言者の一人であるイスラエルの医師は、自身の患者が、中国で2週間待機しただけで、心臓移植を受けることができた、と述べた。

さらに、統計的に、中国で実行されているドナー制度の臓器提供数と、臓器移植件数も一致していないことが証明された。

中国にある移植認定病院146院のインフラ、ベッド数、医者や医療スタッフ数の統計に基づいて、中国では年間6万~9万件の移植手術が行われていると推計できる。しかし、中国衛生部は1万~2万件と発表している。

開廷中、中国の元収容者から、収監期間に何度も血液検査を含む内診を受けたとの証言があった。これらの検査結果は、収監者に開示されることはない。また、収容者は拷問も受けている。これらのことから、ナイス卿は、検査は収容者自身の医療措置ではなく、「ドナー」の臓器の状態検査と考えられると述べた。

裁判では、中国臓器移植界の草創期で、実際に死刑囚から臓器を摘出した医師(当時)の証言を引用した。新疆ウイグル自治区で外科医だったエンバー・トフティ氏は2018年12月の公聴会で、1990年代、銃殺刑現場で、心臓がある左胸ではない、右胸を撃たれた死刑囚から、腎臓と肝臓を摘出した経験を語った。

「私の記憶では、彼の胸を切開したとき、心臓が鼓動していた。私の執刀に抵抗しようとさえしていた。しかし、彼はすでに弱っていた」

行動の呼びかけ

裁判では、収集した証拠をもとに、中国共産党政権が人道に対する罪を犯していると結論付けた。しかし、国際的に定義された、ジェノサイド(大量虐殺)罪が適応するかどうかは定かではないとした。この犯罪が意図するものは、証明できていないためだという。

ナイス卿は、最終裁定により、各国政府および国際機関は「義務を果たすべきだ」と述べた。そして、中国臓器収奪問題は、いまだに大量虐殺が進行している可能性があることから、国際裁判所や国連に訴える必要があるとした。

最後に、現在の中国に関わる海外の「医師、医療機関、産業、各分野企業、航空会社、旅行会社、金融業界、法律事務所、製薬会社、保険会社、個人旅行者、教育機関、芸術機関などは、この犯罪国家との関わりを認識すべき」と述べた。

中国での移植倫理グループ、中国での臓器移植濫用停止国際ネットワーク(ETAC)共同創設者スージー・ヒュージ(Susie Hughes)氏は、最終裁定の後に声明を発表し、残忍な犯罪を根絶するために緊急対応を求めた。

「中国で臓器収奪が行われているのかどうかという疑問の問題はなくなった。今は、これらの人々の命を救うために早急な対応が必要となる。人道に対する罪を考慮し、直ちに中国との移植関連の協力をすべて停止し、自国民が中国への移植ツアーに参加するのを防止しなければならない」とヒュージ氏は述べた。

中国臓器収奪問題について10年間調査し、2016年に詳細な共同報告書を作成したジャーナリスト、イーサン・ガットマン(Ethan Gutmann)氏は、民衆法廷を評価するものの「開廷は10年以上遅れている」と述べた。「もし最初の告白(注:2006年)から行動を起こしていれば、多くの人の死を防ぐことができたはずだ」

在英中国人アニー・ヤンさんは新唐人テレビの取材に対して、最終裁定は、各国政府に行動を起こすことを促す重大な進展だと語った。ヤンさんは法輪功を信仰しているため投獄され、収監所で採血などの検査を受けた。