県幹部、治安回復を強調 ウイグル族宗教弾圧に不満

東京新聞 2008年8月12日 朝刊

【クチャ(中国新疆ウイグル自治区)=新貝憲弘】同時多発の襲撃事件があった中国新疆ウイグル自治区クチャ県は事件二日後の十一日、表向き治安を回復した。五輪期間中だけに当局は地域安定のアピールを狙うが宗教弾圧や民族差別が解消されない限り“見せかけの平穏”がいつまで保たれるか疑問だ。

最も襲撃が激しかった県政府と公安局の交差点で飲食店の従業員らが後片付けをしていた。ビルの所々に弾痕や割れたガラスが残っている。湖南省出身の男性店主(40)は「普段の治安は悪くない。なぜこんな事件が起きたのか」と話す。

ウイグル族の漢民族支配に対する不満は根強い。ウイグル族男性によると憲法で信仰の自由が保障されながら「実際は家庭で子どもにイスラム教を教えると逮捕される」。学校では漢民族の習慣に従いラマダン(断食月)期間中も強制的に食事をさせられるという。

「権力はすべて漢民族が握り、われわれはどんな理由でも捕まる」。漢民族とけんかをした場合でも報復を恐れ「“殴りたいだけ殴れ”と言うしかない」。

この男性は「国家指導者は現実を見てほしい」と語るのが精いっぱいだった。

同県を管轄するアクス地区ナンバー2のムティエリフ・ハシム氏は記者会見で「正常な生活が戻った」と強調し「逃亡中の三容疑者が表に出てきたらすぐに捕まえる。今は各民族の団結が最も良い」と自信を示した。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/news/CK2008081202000130.html