新疆の警官襲撃、組織的関与を否定

8月7日8時1分配信 産経新聞

■在米ウイグル人人権活動家 ラビア・カーディル氏

【ワシントン=山本秀也】北京五輪の開催を目前に控え、武装警察襲撃など中国で相次ぐ「テロ」にウイグル人独立派の関与が指摘されている問題で、内外のウイグル人社会に影響力をもつ在米の民族人権活動家ラビア・カーディル氏は5日、産経新聞に対し、「ウイグル人は流血行為を支持していない」と述べ、組織的な抵抗活動であることを否定した。ただ、中国当局による民族弾圧が続けば、新たな抵抗が生まれる可能性は「否定できない」と強い憂慮を示した。

新疆ウイグル自治区のカシュガルで、治安維持にあたる武装警察隊員32人が死傷した襲撃事件について、カーディル氏は「事実関係を客観的な情報源から把握しているところだ」と説明した。現地社会の一部が暴力行為に走った可能性については即断を避けながらも、同自治区の中国からの分離・独立を掲げるグループの組織的な関与といった可能性は、強く否定した。

在米の情報サイト、多維新聞網によると、欧州に拠点を置く民族組織「世界ウイグル会議」の広報担当者は、武装警察への襲撃事件について、弾圧への抵抗との見方を示している。

事件をめぐっては、中国当局がテロ組織に指定する「東トルキスタン・イスラム運動」(ETIM)の関与説が国営新華社通信の報道などで伝えられるが、このETIMについて、カーディル氏は、「すでに(テロ活動を行い得る)実態はない」と述べたうえ、「中国政府はETIMの名を民族抑圧の口実に使っているだけだ」と非難した。

さらに、中国南部・雲南省での連続バス爆破事件をめぐり、犯行声明を出した「トルキスタン・イスラム党」(TIP)を名乗るグループに関しては、「これまで聞いたことがなく、実在は疑わしい」との疑問を呈した。

五輪開催を控えた中国国内でのウイグル人の状況について、カーディル氏は、「何の自由もない。チベット人のように街に繰り出すことなど許されない状態だ」と語った。そのうえで同氏は「中国が弾圧行為をやめなければ、抵抗に訴える人が出てくる可能性はあるだろう」と警告した。

【プロフィル】ラビア・カーディル氏

ウイグル人の民族人権活動家。中国で女性実業家として成功し、全国政治協商会議(国政諮問機関)委員となったが、民族問題をめぐる政権批判で失脚。秘密警察に逮捕、投獄された。2005年の米国亡命後は世界ウイグル会議(WUC)など在外民族組織のトップを務め、ノーベル平和賞候補にもなった。ワシントン在住、59歳。 

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080807-00000087-san-int