抑圧・監視で安定維持=「強制収容」に批判強まる-ウルムチ騒乱10年・中国

livedoor, 10.07.2019

【北京時事】中国新疆ウイグル自治区の区都ウルムチで197人が死亡(当局発表)した大規模な騒乱が発生して、5日で10年を迎える。

共産党・政府は、テロ対策を名目にイスラム教徒の少数民族ウイグル族に対する抑圧と監視を強め、表面上は安定を維持している。しかし、「職業訓練」の名の下に多数のウイグル族を事実上強制収容していることに、国際社会の批判は強まっている。

ウルムチ市公安局が2017年に公開したスマートフォン用アプリの名称は「百姓(人民大衆の意味)安全」。「いつでも疑わしい人を通報できる」機能を売りに、住民にインストールを「推奨」。実際には通話や位置情報を通じて住民の行動をリアルタイムで監視しているとみられる。

街中に張り巡らせた監視カメラの映像を基に、顔認識技術を使って個人の行動を追跡監視していることも明らかになった。今年2月にオランダのネットセキュリティー専門家が暴露した、中国の顔認識ベンチャー「深網視界」のデータベースには、自治区の住民250万人以上の個人情報と位置情報が記録され、「新疆がIT企業の実験場になっている」(外交筋)ことをうかがわせた。

中国当局による抑圧は、ウイグル族の信仰にも及ぶ。「イスラム教の中国化」を合言葉に中国イスラム教協会が先月公表した管理規則は、各寺院に「中国共産党の指導と社会主義制度の擁護」を要求した。

海外からの人権侵害批判に、中国側は「内政干渉だ」(外務省報道官)と反発。自治区で2年以上テロ事件が発生していないことや、貧困人口を5年間で230万人以上減らした「実績」を繰り返しアピールする。

しかし、昨年8月の国連会合で、ウイグル族ら推計100万人以上が強制収容施設に送り込まれていることが報告されて以降、国際社会からの批判はとどまる気配がない。自治区政府は同年10月に条例で「寄宿制の職業技能教育訓練センター」を合法化したが、米トランプ政権は「中国は80万~200万人以上を収容所で拘束し、宗教や民族の独自性を消去しようとしている」などと非難、米中対立の争点の一つに浮上している。

民族・宗教でウイグル族とつながりの深いトルコは経済関係を配慮し中国批判を控えてきたが、今年2月、抑圧を「人類にとって大きな恥」とする声明を発表。北京で今月2日行われた習近平国家主席とエルドアン大統領の首脳会談でも、ウイグル問題が主要議題になったもようだ。