北京五輪で宗教弾圧 米公聴会で当事者証言

産経新聞 2008.6.21 19:37

【ワシントン=古森義久】米国議会の人権議員連盟は20日、中国の宗教の状況を北京五輪の開催という観点から調査する公聴会を開いた。中国当局がウイグル人のイスラム教、中国人のキリスト教、チベット人の仏教などの宗教活動を五輪前に抑えようとしていることが、抑圧を受ける当事者側の証言で明らかにされた。

上下両院の超党派議員で結成する人権議員連盟が主催した公聴会では、中国の新彊ウイグル自治区に住むウイグル人を代表する「世界ウイグル会議」のラビア・カーディル議長が「同自治区では聖火リレーが17日から中国当局の厳戒態勢下で実施されたが、コースが突然変更され、一般ウイグル人は疎外されたと聞いている」と述べた。

同議長はさらに(1)中国当局は五輪に備えて昨年から特にウイグル人のイスラム教信仰を骨抜きにする措置を次々に打ってきた(2)子供の教育では無神論が教えられ、礼拝を軽視することが強調されている(3)ここ数カ月でウイグル人65人が中国当局への反抗を理由に逮捕され、近く有罪宣告を受ける-ことなどを証言した。

中国各地で当局の承認を受けないキリスト教教会に通う信徒らを支援する国際組織「中国支援協会」のボブ・フー会長は、「五輪の際にキリスト教信者らの抗議などが起きないように、事前の予防工作的な弾圧が始まり、この2カ月ほどで拘束されたキリスト教信者の数は過去25年でも最高となった」と述べた。

チベットの状況について、国際人権擁護組織の「チベット国際キャンペーン」(ICT)のトッド・スタイン対政府関係部長は「今年3月から愛国教育をチベット仏教の信仰抑圧に使うという当局の作業が特に強化され、警察が寺院に入り僧侶を取り締まるという抑圧が進み、騒乱に発展したのだ」と指摘した。

米国議会の勧告で1998年に結成された「国際宗教自由委員会」のニナ・シェア委員は、「中国ではイスラム教、キリスト教、仏教など民間の無届、無組織の宗教信者が増えてきたが、当局はこれら信者が五輪で表面に出ないよう最近、特別の規制や抑制の措置をとり始めたので警告を発したい」と証言した。

シェア委員はブッシュ米大統領の北京五輪への出席予定に関連し、「米国の大統領としてまずチベットに出かけ、犠牲者の霊に参り、それから北京で五輪を見物して、胡錦濤主席に人権改善を要望してほしい」と述べた。

http://sankei.jp.msn.com/world/america/080621/amr0806211946014-n1.htm