中国・新疆襲撃背景に『漢族支配』 広がる格差伝統も衰退

東京新聞 2008年8月8日 朝刊

【北京=平岩勇司】中国新疆ウイグル自治区で、武装警察隊襲撃事件が起きた背景には、同地区を漢族が支配する現状へのウイグル族の不満が募っていることがある。ウイグル族の独立志向を弱めようと、中央政府は経済成長優先政策を打ち出すが、経済格差は広がる一方だ。ウイグル民族の伝統文化衰退という現象まで生んだ。

中央政府は同自治区で、石油、天然ガス、観光業などの主要産業に大量の資本を投入。これにより自治区は全国平均より高い経済成長を達成している。

ただ主要企業の経営者は漢族が多い。ウイグル族が集中する住宅地の開発は、漢族の地域に比べ遅れている。企業内でも、「少数民族だから、これ以上出世できない」などと言われることもあり、経済成長の恩恵は圧倒的に漢族が受けているのが実態だ。

新疆では「進学や就職のため中国語を学んだ方が有利」と考える親が、ウイグル語ではなく、中国語の小学校を選択するケースが続出している。「民考漢」と呼ばれるこの現象は、ウイグル族の若者たちに、イスラム教の生活に縛られず、消費文化を楽しむ漢族の生活にあこがれも抱かせる。

中央政府の政策は伝統的な慣習を守るウイグル族にとって、経済的恩恵が少ないばかりでなく、若者の民族文化離れを加速させており、最大の不満要因となっている。

事件が起きたカシュガルの失業中の男性は「新疆にはどこにでも軍隊の拠点がある。民衆が立ち上がっても、すぐ鎮圧される」と訴える。

新疆各県にある「新疆生産建設兵団」という組織は普段、農業生産などに従事し、生産実績も高い。ただ、彼らはウイグル族らがデモや抗議行動を起こした時、鎮圧部隊に早変わりする。男性は「やっぱり自分たちの軍隊が欲しい」と訴えている。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/news/CK2008080802000144.html