「習近平氏の赤絨毯はウイグル人の血で染まっている」 カーディル議長が悲痛な訴え

産経新聞 2015.11.02

 中国の習近平国家主席(62)による英国公式訪問とほぼ時を同じくして、中国から逃れた亡命ウイグル人の組織を束ねる「世界ウイグル会議」のラビア・カーディル議長(68)が来日し、習政権下でウイグル人への弾圧が強まっている現状を訴えた。英メディアは「英国が習主席のために敷いたレッドカーペットはウイグル人の血で染まっている」とのカーディル議長の言葉を報じた。

来日した議長が英を指弾

 カーディル議長は10月13~21日の日程で来日。自民党の国会議員らとの懇談に加え、精力的に記者会見や講演をこなした。英ロイター通信は19日に日本外国特派員協会で開かれた記者会見について報道。ジョージ・オズボーン英財務相(44)が先月、中国・新疆ウイグル自治区を訪問した際に「英中の経済関係について強調したが、現地の問題についてはほとんど言及を避けた」と指摘した。

 また中国が新疆ウイグル自治区で活動しているとする「イスラム過激派」や「分離独立主義者」について、これまで明確な証拠が示されたことがないとする亡命ウイグル人や人権団体の主張を紹介。自治区が不安定なのはウイグルの文化や信仰への抑圧政策に対する不満が原因だとの訴えにも言及し、英国が習主席を「レッドカーペットで歓待」することへのカーディル議長の非難の言葉を伝えている。

首相の内輪からも批判

 習主席に対する英国の「歓待」についてはデービッド・キャメロン首相(49)の内輪からも批判が出た。英紙ガーディアン(電子版)によると、キャメロン氏の戦略アドバイザーを務めたスティーブ・ヒルトン氏(46)は英BBCの番組に出演し、中国指導者への待遇に対して「1970年代に英国が国際通貨基金(IMF)に救済されたとき以来の国家の恥だ」と批判。「実際のところ中国はイランやロシアと同程度の“ならず者国家”であり、中国に対して立ち向かうどころか、なぜおべっかを使うのか理解に苦しむ」と発言し、「われわれは中国に対してレッドカーペットを敷くのではなく、制裁を科すことを考慮すべきだ」と訴えた。

 一方、中国政府はカーディル氏ら亡命ウイグル人らに対して「テロリスト」「分離独立主義者」との批判を強めている。

 20日に都内の参院議員会館で国会議員らとの懇談後に記者会見したカーディル氏は「最近、中国当局は私を国際警察(国際刑事警察機構、ICPO)にアピールして私をテロリストだと申請しているようだ」と発言。最近イタリアを訪問した際にも、中国当局からイタリアに入国させないよう圧力があったことを明らかにした。

「無人機で殺害」

 「数え切れないほどのウイグル人たちが、無人機やヘリコプターで中国の軍に殺害されている」

「ウイグル人が抗議のために行動した際、中国当局は無人機を出して不満を示した人たちをピンポイントで殺した」

 会見でカーディル氏は、中国がウイグル人に対して無人機を使った攻撃を行っていると繰り返し強調した。中国は軍用無人機の開発に力を入れており、偵察に運用しているとされる。会見で無人機攻撃の具体的な証拠は示されなかったが、中国軍が新疆ウイグル自治区で実際に無人攻撃機を運用しているのかどうかについて中国側は明らかにしていない。

 また、カーディル氏は中露と中央アジア4カ国で構成する「上海協力機構」について「中央アジアに居住するウイグル人への対応」が目的だと主張した。

 上海協力機構は1996年にはじまった「上海5(ファイブ)」とよばれる5カ国の会議にウズベキスタンを加えてつくられた機構で、元来は冷戦後の国境管理などについて協議するためにつくられたとされる。

 カーディル氏は「中央アジアには200万人近くのウイグル人が住んでいる。中国国内でウイグル人が弾圧されていることに彼らも不満を持っており、何らかの抵抗をすることは中国も認識している」と分析し、「中央アジア諸国を中に入れて、現地に住むウイグル人も自分たちが始末する対象に選んだ」と持論を述べた。(国際アナリスト EX)

http://www.sankei.com/premium/news/151102/prm1511020001-n3.html